「海外駐在員は、海外の自由な雰囲気の中でゆるく楽しく仕事しているんだろう」
私自身が会社員を長年やっているときに、駐在員に対してそう思っている人が社内で多いなと感じていました。
でも、夫が駐在員になり、また、多くの駐在員と話をする中で、「駐在員の辛さ」を目の当たりにすることになりました。
渡航したばかりのときは、海外ワンオペ育児がしんどくて何度も夫に、”私自身の辛さ”をぶつけていたよ。でも、夫もあのときしんどかったんだ―。
今日は、一般的な会社の駐在員のしんどさ、そして、駐在妻の立場から何をしてあげられるか、について綴りたいと思います。
海外駐在員のつらさ
語学の壁、商習慣の違い
海外に来て、まず一番最初にぶつかるのは、語学の壁・商習慣の違いだと思います。
ある程度語学ができると評価されて駐在員として派遣されていることが多いと思いますが、やはり英語で日々交渉をする中で無力感を感じる人も少なくないはず。
また、英語が通じない国の場合は、通常は英語での交渉が主だとしても、コミュニケーションのためにある程度その国の言葉を覚える必要が出てきたりもします。
そして、日本の商習慣とは違い、納期などにルーズな国もあるなど、慣れるまではなかなか大変だと思います。
人間関係が狭い
日系企業の海外支社で行くのか、現地法人や現地の会社に出向という形で派遣されるのか、色々なケースがあるとは思います。
国や派遣形態にもよりますが、一般的には日本で働いていた職場より圧倒的に人数が少なくなるケースがほとんどです。
そう、人間関係が狭いのです。
職場で思わずため息をつくと、職場全体にため息が伝わり、何だかブルーな雰囲気にしてしまったり。
「あ~この人ちょっと苦手だな?」と思っていても、人間関係が狭すぎて誰にも吐き出せなかったり。
職場の人数が少ない+異国のため、職場以外に逃げ場がないこと。
これは思っている以上にストレスに感じている人が多いと感じます。
「本社に成果を見せなくては」という焦燥感
一般的に企業における海外駐在は、もちろん大事な営業拠点であることには間違いなく、即戦力として派遣する場合も多いと思います。
ですが、人事的には「今後のキャリアに生かせる経験を積んでほしい」という人材育成の意味合いもあります。
いわば、「期待」はある程度されているのだと思います。
でも、だからこそ駐在員としては、本社に対して一定の仕事ぶりを見せなくてはいけないという焦燥感に駆られることがあると思います。
しかも、遠隔地勤務であるため、本社にいる役員や上司がどのような思いでいるのか、何か指示をされたときはその真意は何なのかなどが分かりかねるときがあります。
普段顔を合わせながら仕事をしていたら、雑談の延長やその場の温度感で汲み取れることも、海外勤務だと難しかったりしますよね。
なので、意図を汲み取り損ねとんちんかんなことをしてしまうことや、逆に本社に忖度しすぎて無駄に仕事をしすぎてしまったりする人も中にはいるのではないでしょうか。
海外に来ても日系企業は日本の文化
「海外だと、海外のフレキシブルな考えや制度のもとで働いているのでは?」と思っている人もいるかもしれません。
確かに会社によっては、郷に入れば郷に従えで、海外の自由な雰囲気で仕事をしている人もいるでしょう。
ですが、日系企業の海外支店の場合は、多くが日本からの駐在員で構成されていたりします。
となると、文化は日本の企業そのままなんです。
むしろ、最近では日本は働き方改革が進み始めたので、働き方改革が進む以前の時代に渡航した人は、より古い社風を踏襲されている職場も。
普通に残業や休日出勤をしている会社もあるようです(涙)
海外に来て何をやっているんだ?という自問自答
海外駐在を希望して来られた方も多いと思います。
念願叶っての海外駐在、でも「自分はちゃんと成果を出せているのか?」「仕事を通して成長できているのか?」とふと自問自答してしまう人もいるのでは。
今まで憧れていたからこそ、その現実に向き合えず、燃え尽き症候群のようになってしまう人もいるようです。
生活習慣・物価の違い
生活基盤を整えるまでに時間がかかります。特に家族がいる場合は尚更のことかと思います。
ただでさえ仕事に慣れるまでストレスを感じるのに、生活基盤が不安定なままだとオンもオフも休まらないですよね。
また、ぱーっと気晴らしをしたい!と思っても、口に合う外食ができなかったり、物価が高すぎて気軽に発散することも躊躇される国もあると思います。
妻や家族のフォロー
本当は家族ともっと過ごしたい。育児や家事もどんどんしたい。
でも自分は仕事でいっぱいいっぱいで、妻には寂しい思いをさせたり、ワンオペ育児を強いてしまうことで、家に帰ると愚痴愚痴言われる。
我が家もそうですし、周りの友人の家もそんな家が多いです(笑)
駐在員夫に、駐在妻ができること
立場を理解してあげる
駐在妻の皆さんで、海外での暮らしが思っている以上にしんどいと思われている人も多いのではないでしょうか。
私もそのうちの一人で、子供2人と基本的にワンオペ育児の日々を過ごし、疲労が爆発し涙したこともあります。
だんだん、こちらでの暮らしにも適応することができ、子供も学校に馴染んできたので、今では落ち着いていますが、特に初期はしんどかったです。
そんなときに何度も夫に「もうしんどい」「結構限界なんだけど」と伝えました。
そのときの夫の対応が、思った以上に淡々とした塩対応で、私としては「もっと海外でワンオペにしてごめん、とか言えないの?」と一人怒っていました(笑)
でも今思うと、あのとき夫は必死だったのだと思います。
仕事にいっぱいいっぱい、理想の姿には程遠い現実。
その上、妻からは帰宅すれば罵られる。子供とももっと一緒に遊びたいのに、帰ったらすでに寝ている―。
「こんな毎日でいいのか?」と自問自答していたのかもしれません。
今、ようやく夫も仕事に慣れてきて、私も子供も落ち着いてきているからこそ、あのときの「しんどさのぶつけあい」を思い出すと切なくなります。
なので、駐在妻としてできることは、「駐在員である夫も、毎日精一杯頑張っていること」を最大限理解してあげることだと思います。
気の利いた言葉や凝ったご飯を作らなくても、理解し寄り添ってあげるだけでも、夫の気持ちは少しはラクになるのではないかと思います。
でも我慢は禁物
かと言って、駐在妻も自分のしんどさを泣き寝入りする必要はありません。
しんどかったら、しんどいことは唯一のパートナーである夫には伝えるべきだと思います。
伝え方だけ少し気をつけて、夫婦・家族の問題ですから、しんどさをどうすれば軽減できるかを一緒に考えれば良いと思います。
そうすれば、自然と夫婦の絆も次第に強くなっていくのではないでしょうか。
まとめ
私は、この記事を、海外赴任に帯同してきた初期の頃の自分に読んでほしいです(笑)
「自分のしんどさ」ばかりをストレートに夫にぶつけていた自分。
夫のしんどさを想像する余裕なんてありませんでした。でも、夫は頑張っていた。必死で前に進もうと頑張っていたのです。
この記事を読んでいる駐在妻の皆さんは、私より大らかな方が多いと思いますが(笑)、駐在員のしんどさも少し心に留めておけば、夫婦関係がよりよくないのではないかと思います。
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