
2月から上の子がオーストラリアの現地校(幼稚園年長)に通い始めました。
日本では英語はほとんど学んでいなかったので(WWK挫折組)、ちゃんとやっていけるか心配だったのですが、通い始めて1週間で「この学校にずっと通いたい!」というほど、学校が大好きになりました。
安堵すると同時に、日本の公教育との差に驚くことも多く、数年後に帰国し日本で今後生きていく身として、正直日本の公教育に不安しか感じなくなりました。
今日は、私が感じたオーストラリアの公教育のすばらしさ・日本の公教育の危うさについて紹介したいと思います。
先日、このことをツイートすると反響がありましたので、その詳細です。
オーストラリアに来て驚いた教育事情
オーストラリアの幼稚園初日に学んだこと

日本の幼稚園だと、初日に何を教わるでしょうか。
「お友達と仲良く」「先生の言うことはきちんと聞く」この辺りをメインで伝えるのではないかと思います。(偏見あったらごめんなさい)
オーストラリアの幼稚園年長(義務教育のスタート)では、初日に製作をしていました。
材料は、何種類かの色画用紙や毛糸で形作られた肌・目・紙の毛。
これらを組み合わせ、自画像を作るというものでした。
先生からのメッセージ(アプリでその日学んだことが届く)には、以下のようなことが書かれていました。
「一人ひとり、肌も、目も、髪の色も違うことを、お友達同士見合ってまず確認しあいました。
そして、その違いが素晴らしいねと話しました。
まずは、”違い”を受容することが、1日目のテーマでした。」
元々が移民の国で様々な人種がいる国だからということもありますが、まず幼稚園初日に「違い」を受容することから始まる。
私は良い意味で衝撃的でした。
オーストラリアでは、本当に大人も良い人が多くて、人種はもちろん、英語がうまく話せない人にも寛容だと感じます。
きっと、幼少期からこういった”違いを受容する”教育が浸透している結果ともいえると思います。
日本の幼児教育でも、”規律”を求めるのではなく、互いの”違い”を魅力だと捉える教育をすれば、いじめ文化の撲滅にも寄与するのではないかと浅はかながら感じました。
オーストラリアではSTEAM教育が当たり前に実践されている

STEAM教育とは
日本では、知育に興味のある方は知っている「STEAM教育」。
STEAM教育とは、 Science(科学)、 Technology(技術)、 Engineering(工学)、Mathematics(数学)を統合的に学習する「STEM教育(ステムきょういく)」に、 さらにArts(人文科学・リベラルアーツ)を統合する教育手法である。
https://steam-japan.com/about/
海外、少なくともオーストラリアでは、販売している玩具にはほぼその文字が書かれています。
そして、幼稚園の方針にも唄われています。
私が一番日本の公教育に危機感を感じたのはこの部分です。
幼稚園の授業で「昆虫」の取り扱いの仕方
あくまで一例ですが、先輩ママ曰く、幼稚園のある日のテーマが「昆虫」だったそう。
日本だと「昆虫の絵を皆で書きましょう」で終わると思うのですが、こちらでは「昆虫に足は何本ある?」「目はどうなっている?」「そういえば、他の昆虫はどんなのだった?」と、まず観察に重きを置くとのこと。
そして、その後に、絵を描いたり、工作で作ったりする。
まさしく、STEAM教育を実践している、分野横断的な学び方だと思います。
小学校の授業で「恐竜」をテーマに多角的に学ぶ
これはイギリス系の私立の小学校の話です。
例えば1~2ヶ月は「恐竜」をテーマに掲げ、その期間は例えば歴史的、数学的、科学的観点など色々な分野で「恐竜」について取り扱うそう。
日本の小学校でももちろん目的・テーマはありますが、「1年」単位など期間が長いですよね。
正直、子供からしたらそんな長い期間で壮大なテーマがあっても伝わりにくい。
でも、「恐竜」という分かりやすいテーマがあり、それを多角的に深めていくことで、子供の好奇心の芽は縦にも横にも育っていくことと思います。
日本の公教育のゴールは依然として”大学受験”。
そうではなく、学ぶことの楽しさを教えていくのがオーストラリアの教育だと感じます。
英語が第二言語の国での英語教育のレベルの高さ

他国の英語教育のレベルが高いのか、日本が低すぎるのかは分かりません。
ただ、オーストラリアに来て、英語が第二言語の人が驚くほど流暢に英語を話すことにびっくりします。
中国人、韓国人、インド人、ヨーロッパ系の人々などの、大人だけでなく、子供もなんです。
上の子の幼稚園にインドから来たばかりの子がいましたが、少なくとも私よりかは英語を上手に話しています。TOEIC800点なんて、紙切れです。
インド人のお母さんに聞くと、「子供はインドの幼稚園でも英語を学んでたよ」と話してました。
これからの時代、AIもどんどん進化し、翻訳のツールも発達していくことでしょう。
でも、英語を話せないことは思っている以上に人生の選択肢を狭めると最近切に感じます。
仕事の種類だけでなく、日本にいても英語の文献が読めたら研究の幅も広がる、大学も子供達の時代だと上位層は海外の大学を選ぶかもしれない。
子の人生の可能性を拡げ豊かにするためには、幼少期から自然に英語を学ぶことは、海外の常識としては当たり前なんじゃないかなと、海外ママと話していると感じます。
幼稚園と小学校が同じ敷地にある
これは私の住んでいる州だけかもしれませんが、幼稚園と小学校が同じ敷地にあり、都度連携しています。
幼稚園のときの情報がスムーズに小学校に連携されるという、当たり前のことが日本ではできていなかったりするので、学ぶべきところはあると思います。
(日本は土地がなく人口過密が原因で難しいのは分かりますが。。)
体育の授業の服装が様々
日本だと体育の授業を受けるときは体操服ですよね。安全面からそれが良いのは分かります。
ただ、こちらの小学校では、制服のワンピースで体育を受けている子もいます。
イヤリングをつけたままの子もいます。
そして、とても皆が楽しそう―。
日本の体育は「整列!」など本当に軍隊みたいな雰囲気ですよね。
もちろん、その良さもあります。あるのですが、オーストラリアとの差に愕然としてしまうのです。
学校へキックボードで来てもよい
これも驚きでしたが、キックボードで学校に通っている子も多いです。
日本だと土地の問題もあるし、万が一事故が起きた場合の責任の所在の問題もあります。
根本的に日本は「クレームを言われないために予防線を張る」、オーストラリアは「基本的に生徒に任せる。自己責任」なのだと感じます。
公立校でも学校で習い事ができる

公立の幼稚園・小学校で、授業前(7時半~8時20分など)や授業後に、学校でテニス・サッカー・ピアノやその他の金管木管楽器を学ぶことができます。
ここでポイントなのは、民間業者による習い事なのです。
日本でできたとしても、小学校の先生による指導などが多いと思います。
先生への負担はかけず、民間に委託する。日本も見習いたいところです。
そして、学校での習い事は、ワーママにとっても非常にありがたいことですよね。
オーストラリアの中高は部活動がない
上の項目とも似ていますが、オーストラリアでは中高に部活がないそうです。
スポーツなど課外活動をしたい人は、自分で学外の団体に参加するとのこと。
部活は先生を疲弊される大きな要因ですし、そもそも強制させられるものでもないと思うので、実に合理的です。
日本で生きていく私達に何ができるか
日本の公教育の危うさを自覚する必要がある

私は正直、海外に出てくるまで日本の公教育がここまでも”イケてないもの”だとは知りませんでした。
英語力の低さや、近年学力の低下もニュースで取り沙汰されることもありますが、ここまで実感するものとは思いもしませんでした。
公教育をすぐに変えることは難しくても、少しでも子の可能性を拡げたい、選択肢を与えたいと思うならば、「日本の公教育は世界のスタンダードからずれている」ことは自覚する必要はあると思います。
そして、その”ずれ”をせめて家庭内や課外活動を通して、フォローしていきたいものです。
少しでも日本の教育を変えるために
最近は民間でも自発的・多角的に学べる教育の場を提供する団体も出てきていますが、まだまだ一般的ではないのが現状です。
公教育も少しずつ変わろうとしていますが、抜本的に変わることはなかなか難しいようにも思います。
でも、選挙や文科省、学校に意見を言う機会があれば、きちんと伝えていくことが個人のできることであると思います。微力ではありますが。
とりあえず、今の私にできることは、自分が感じたショックを少しでも多くの「伝えること」だと思ったので、こうして発信しています。
まとめ
長々と書きましたが、日本の公教育にもちろん良さはあるとは思います。
私自身、小中高大と国公立で学んできた身であり、日本の公教育には感謝しています。
だからこそ、どうにかしたいという気持ちで私は今いっぱいなのです。
まずは、日本の公教育が海外先進国のスタンダードとはずれていることを、少しでも臨場感をもって伝えることができて、多くの人に理解してもらえたならば私は嬉しいです。
また、公教育を少しでも変えるために何かできること、いいアイディアがある方は、是非教えていただきたいです。
以上、どなかたの参考になれば嬉しいです。
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